■■10章「軌道」(松山 晋作)

●p.207
 「レール費用の40%にも及ぶ溶接費用」のレール費用とは、レール価格を意味しているのでしょうか?つまり、溶接ロング化すると、レール価格が、事実上定尺レールの1.4倍になるとの理解でよろしいのでしょうか?

<回答>
 そのように理解されてよいと思います。執筆者が亡くなっており本意は不明ですが、普通レールは普通条鋼の価格、トン(1000kg)当たり7~8万円程度、定尺25mでは10~12万円と思われます。本文では、途上国の話ですのでもっと安いかも知れません。
 溶接費用は、材料費よりも、施工場所、請負施工箇所などで変動する人件費・管理費の占める割合が大きく一概には言えませんが、1口当たり数万円。途上国では対レール価格比は、端部焼入れ(処理費は工場なので定尺25mレールの5~6%程度)のほうが安いということです。ただしレール更換までの保守費(落ち込み補修人件費、車両への影響も含む)は、列車頻度の増加などが見込まれれば、溶接の方が安くなる可能性もあります。

●p.229
 「分岐器や橋梁用に使われる以外はPCまくらぎが主力」とありますが、JR西日本の分岐器には、多くの個所でPCまくらぎが使用されています。JR東日本でも中央本線大月駅の分岐器にPCまくらぎが使用されています。

<回答>
 JR西ではバラスト道床でPCが主力でしょうか? 大月駅に使用されているのがめずらしい位なら、全国的に見て主力といえるのでしょうか? 分岐器はPCですとゴムパッドなど緩衝材が必要ですが、木まくらぎは緩衝材にもなっているのです。執筆者(栗原)は分岐器メーカの勤務経験もあり、PCはレアケースだと云っています。因みに、図10-20(京王線高幡不動駅の分岐器)では分岐器内は木まくらぎとなっています。

●p.230
 「(鉄まくらぎが)日本では、省力化軌道用としてJR貨物の分岐器のほか・・・」とありますが、JR貨物管理の貨物ヤードの線路で、分岐器以外の個所にも鉄まくらぎは多数使用されています。

<回答>
 執筆者(栗原)の言では、鉄まくらぎは、信号回路の絶縁性がないため、本線ではあまり使用されていないということです。信号回路のないヤードでは使用されているのでしょうか。特殊な例で、絶縁付鉄まくらぎも製作されていますが、多くはないようです。